千年血戦篇で卍解が奪われる!隊長は無能なのか?

 ブリーチの千年血戦篇では56巻で星十字騎士団の一度目の侵攻序盤に朽木白哉、日番谷冬獅郎、砕蜂、狛村左陣の4人が卍解を奪われた。
 星十字騎士団は卍解に対する何らかの封印・無力化手段を持っているとわかっていながら卍解する隊長達は「無能、バカ、大失態」などという意見が出ていたらしい。
 実際にアニメでは隊長達が始解で歯が立たない描写が追加されており、4人の隊長が卍解するしかなかったという説得力が出た。
 ただ、個人的には漫画で読んだ時点でも違和感などは全く感じていなかった。2023年になって4人が卍解を奪われた件が批判されていることを知ったくらいである。
 漫画の描写でも4人の隊長の行動は無能でないことはよくわかるので詳しく紹介していこうと思う。

卍解が奪われた事件目次

一度目の侵攻前
一度目の侵攻開始
朽木白哉の行動は判断ミスか?
他の隊長格の判断
卍解を賭けで使うのが失敗したのは運が悪かった
まとめ
余談(本当に無能なのは?)
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一度目の侵攻前

 星十字騎士団により雀部副隊長が戦死する。雀部の遺言で卍解を封じる・無力化する手段を持っていることが護廷十三隊の会議で共有される(とはいえ雀部が力尽きてしまい詳細はわからない)。
 「この会議で戦闘になった際、誰が卍解を使うのか、使わないのか決めなかったから護廷十三隊は無能」という読者の意見もあるようだ。
 だが、それは無理な話だろう。隊長によって力量も違う上に、各隊長が戦う敵の力量もわからない。敵との相性もあるはず。始解でしのげるのかそうでないかは各自が戦ってみるまでわからない。
 この時点では無力化や封印ではなく卍解が奪われるとは判明しておらず、卍解を使ってから無力化されるまでに時間があるのかどうかもわかっていない。
 各自が「できるだけ始解で戦うが、始解で勝てずに戦死するくらいなら賭けで卍解する」の判断になるのは当たり前である。

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一度目の侵攻開始

 星十字騎士団が侵攻開始してくる。その戦力は凄まじくとんでもない零子濃度の柱(星十字騎士団の幹部格がいる)が瀞霊廷中に立ち昇る。
 幹部の数は最低でも16人、敵霊圧送信前に死亡した死神もいたと報告があり、実際は16よりも更に多い数が侵攻したことが明らか。
 護廷十三隊は13隊しかなく隊長も13名しかいない、1隊が1人の幹部に対応しても全く足りないという絶望の事態。しかも4番隊は出陣していない。
 実際に隊長がおらず、副隊長や隊士しかいない場所に現れた幹部格は一方的な蹂躙を行っている。
 そして、1隊でエス・ノトとマスキュリンという2人の幹部格と戦う羽目になってしまった隊もあった。六番隊である。

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朽木白哉の行動は判断ミスか?


 千年血戦篇のこの時点では六番隊の朽木白哉は隊長格の中でも上位の実力者。阿散井恋次も副隊長の中では最強クラス(とはいえこの時点では隊長と比較すれば劣る)。
 それでも始解でエス・ノトとマスキュリンの2人の幹部と戦うのは厳しい。敵の零子濃度を見ても、阿散井恋次の攻撃が効かない点を見ても劣勢は明らかだった。
 しかし、朽木白哉は千本桜で敵のエス・ノトにダメージを与えることに成功する。
 また、朽木白哉はマスキュリンの足もとを千本桜で破壊しており、マスキュリンを転落させてエス・ノトと分断することに成功する。
 その上で卍解するが、奪われてしまった。
 「始解でダメージを与えたのに卍解した白哉の行動は判断ミス」という読者もいるようだ。
 だが、よく読めばそうでないことは一目瞭然である。
 せっかく一時的に敵をエス・ノト1人にしたのに、始解で多少ダメージを与えようが短時間でエス・ノトを倒しきれなければマスキュリンが戻ってきてしまう。そうなれば厳しいのは明らか。
 よって、朽木白哉は卍解で賭けに出るしかなかった。判断ミスでは決してない。
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他の隊長達の判断


 星十字騎士団はスターク(第1十刃)を超えるぐらいの幹部格はゴロゴロいる恐るべき集団である(スタークを始解で倒した京楽春水が星十字騎士団のアキュトロンにはボコボコにされており、星十字騎士団の中でアキュトロンはそれほど強い部類ではない)。
 よって朽木白哉と同様に日番谷冬獅郎、砕蜂、狛村左陣も卍解を選んだ。この3人は朽木白哉や京楽春水と比較すれば戦闘能力が劣り、より星十字騎士団と戦った際の始解での無力感は大きかったはず。始解ではいずれ戦死するので卍解を選んで賭けに出るのは当然である。

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卍解を賭けで使うのが失敗したのは運が悪かった

 卍解を賭けで使ってみる作戦は結果的に失敗したが、悪い作戦でなく運が悪かったと言える。
 後々。浦原喜助の研究で「滅却師にとって虚の全ては毒そのもの。奪われた卍解はわずかばかりの虚の力を吸収し卍解を虚化させることで取り戻せる」ことが判明する。
 つまり、卍解を使っても奪われない隊長格は13人中3人もいたのだ。
 平子真子、鳳橋楼十郎、六車拳西の3名のことである。この3名は卍解も虚化も習得している。

 この3人は1回目の侵攻で卍解しなかったが、仮に卍解したとして星十字騎士団に奪われることはなかった。
 後に一護の卍解も奪われないことが判明する。そしてこの3名の誰でもいいので卍解して奪われないことがわかれば、卍解を取り戻す方法は虚にあるともっと早くたどり着けたはず。星十字騎士団の2度目の侵攻でも、最初から隊長格が卍解で戦うことが可能となっていたはずだ。
 この3人のうち、鳳橋楼十郎のみ一次侵攻時に交戦したのがナナナ・ナジャークープであったことがわかっている。ナジャークープは麻痺能力を発動させるのに観察が必要であり、能力発動させるのに時間が足りなかった。よって鳳橋はさほど脅威に感じず、始解でも戦えると判断し卍解しなかったと思われる。もし鳳橋が脅威を感じるような敵を相手にしていたら卍解して別の未来となっていたかもしれない。
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まとめ

 星十字騎士団に対し、賭けで隊長達が卍解するのは当然。始解では倒せず1戦に時間をかけては、隊長がいない場所が蹂躙されたり、六番隊のように数的不利になってしまう隊が出て被害が拡大する恐れもあった。賭けも間違いではなく虚化持ちの他の隊長が卍解していれば重要な情報を得られた可能性もあった。死神たちにとって運が悪かった一戦であり、卍解を奪われたのは無能でも何でもない。
 卍解が奪われたと報告を受け、マユリは「馬鹿」、平子は「ボケ」などと暴言を吐いている。だがマユリは薬などで卍解せずとも戦え、平子は始解が強敵用・卍解は雑魚用。卍解の必要性がそこまで高くない2人だから言えるのだ。
 卍解では倒せないから誰かが犠牲になるしかないという京楽の意見が正しい。

 また4人の隊長が卍解を奪われた後、総隊長も「力を知らないと卍解は奪えない」という間違った仮説を立てて卍解を奪われ、読者から無能扱いされている。だが、一護が卍解を奪われておらず雀部副隊長と隊長格4人が卍解を奪われたという情報のみではこう判断するのは仕方がない。この判断だけで考えると無能では決してない。

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余談(本当に無能なのは?)

 最初に漫画を読んだ際、隊長が卍解が奪われることには何の違和感も感じなかった。その一方で自分には目の疑うような違和感を感じた場面があったのだ。
 星十字騎士団の1度目の侵攻終了後、卯ノ花が総隊長の命令により4番隊隊舎から動かなかったことが明らかになった。

 4番隊が出撃すらせず何もしていなかったのは、いつの間にか山本元柳斎重國が出していた命令のせいだったのである。

 そしてそれはブリーチの全巻で護廷十三隊が犯した史上最大の大ミスと言える。
 後に更木は卯ノ花と戦っている。星十字騎士団を3人抜きできる更木を卯ノ花は「弱い」といい卍解せずとも何度も殺せるほどの力を持っていた。
 星十字騎士団は卍解を何らかの方法で無力化できる。なら卍解せずとも強い隊長はたとえ救護の4番隊だろうが最前線で戦わせるべき。
 なのに総隊長は卯ノ花を戦わせなかった。卯ノ花さえ戦わせれば最低でも5~6人は星十字騎士団を倒せ、劣勢でなくなっていた可能性すらある。虫けらのように殺された何百人もの隊士達の命が助かったであろう。総隊長の最大の過ちであり、この命令については無能と言わざるを得ない。

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